Zooropa(U2)

来日公演延期から日程再決定と、すったもんだのあったU2の皆さんですが、実は新作の製作に入っているとの情報があります。

厳密にはまだ前作のツアーの途中なわけですが、彼らのツアーは1年経っても終わらないわけで、やってる方としちゃ新しいマテリアルに着手しないことには飽きちゃうのかもしれません。

思えば、本作"Zooropa"も前作"Achtung Baby"リリース後のツアーの途中にリリースされた作品でした。


自分が初めてリアルタイムで聞いたU2のアルバムが本作だっただけに客観的な評価が難しい作品かもしれませんが、何かと渋い印象があることは確かです。本作を締めくくる佳曲で歌うのがBonoではなくJohnny Cashだったりすることもそう感じさせる一因かもしれません。

ひょっとしてひょっとすると、Johnny Cashを本作ででしか知らないというリスナーの方もいらっしゃるかもしれません。

なんのこたない、かつては自分もそうだったわけですが、いま思えばそれはまるで「Marlon Brandoを『地獄の黙示録』ででしか観たことがない」というのに近いと思います。『波止場』等の名作において若かりし頃のBrandoさんが放つはち切れんばかりのエネルギーを目の当たりにした後に"Godfather"の老ドンを観ると思わず溜息が漏れる。それと同様に、若かりし頃からのJohnny Cashさんの歌声の魅力を、酸いも甘いも味わい尽くして来た人こそが、U2の演奏を従えてJohnny Cashさんが歌う、その名も"Wonderer"という曲と、その曲によって幕が引かれるこのアルバムの本当の魅力が分かるのかもしれません。自分は、正直言って、まだその途上だと思います。





逆の物言いをすると、初めて聴いたときにはJohnny Cashさんの歌う"Wonderer"の価値がサッパリ分からんかったわけですが、そんなガキまでを夢中にさせるような強烈なフックが仕込まれた素晴らしい曲が他にもたっぷり詰め込まれたアルバムが本作"Zooropa"であります。


ところで、U2の皆さんが製作に入っているという新しいアルバムですが、プロデューサーがよりによってRick Rubin*1だという情報があります。仰天。

Rubinさんと言えば、晩年のJohnny Cashさんをバックアップしていました。その真偽の程や如何に・・・楽しみです。*2


Zooropa

Zooropa

*1:Metallicaの新譜まで手がけてるって話すら耳にする超有名人なので詳述は避ける。ただ傑作"Stadium Arcadium"の録音中に自分の演奏にサッパリ満足ができず独り凹んでいたRed Hot Chili PeppersのFruscianteさんの耳元で「今の演奏すご〜く良かったよぉぉぉぉ」と秘かに囁いて鼓舞した、というエピソードだけは付記したい。

*2:転載時補足:結局U2はこのときにRick Rubinと製作したマテリアルを全てホカした。なかなか大胆で潔い。