The Way of The World(Mose Allison)

Bob Dylan選曲によるコンピレーション作品の第2弾"Theme Time Radio Hour: Season 2"にMose Alisonさんの曲が含まれていました。


Theme Time Radio Hour: Season 2

Theme Time Radio Hour: Season 2


"Young Man Blues"

そう。The Whoの永遠の名作"Live at The Leeds"に収録されていたあの曲です。


「おお。The Whoのあの曲をこういう形でカバーした人が居たのか・・・」ぐらいの気持ちで聞き流しておりました。果たして、逆でありました。Mose Alisonの曲をThe Whoがカバーしてたんですね・・・。ああ、恥ずかしい*1


そんな経緯でお名前を見知ったMose Alisonさん。

「十ン年振りの新譜!」だの何だのと、かなり局地的にではあるものの騒がれていたのが耳に入ったこともあり、気軽な気持ちで聴いてみた本作ですが、気がつかないうちに心を鷲掴みにされており、その虜となっておりました。その効用は止まるところを知らず、明けた本年2011年も随分と楽しませて頂きました。


洒脱に転がるピアノに合わせて、ユーモアに富んだ詩を歌う優しい歌声*2。それ以上に音楽に求めるものがありましょうか。


聴くところによると*3本作、全く乗り気ではない御大のもとにプロデューサーが通いつめ、説得に説得を重ねて制作に漕ぎ着けたそうです。

Joe Henryさん*4、あなたは偉い。


Mose Alisonさん、本作のリリースに合わせて来日する予定も組まれていたのですが、ご本人の体調不良によってキャンセルとなってしまったそうです。珠玉の演奏を生で味わう機会を逃したファンの皆さんはさぞかし残念に思われたでしょう。

ただ、御大、御年83(当時で)。たかが数回の演奏の為に遠い極東の島国にまでご足労頂くのは申し訳ありません。キャンセルで良かったんだと思います。そんなに聴きたいんなら、アメリカでもどこでも行きゃいいはずですから*5。ドルも安いんだし。


Way of the World (Dig)

Way of the World (Dig)

*1:甚だ小っ恥ずかしい勘違いではあるが、そういう間違いに限って少なからぬ快感を伴う。「なんと!」と思う。

*2:ピアノソロになると合わせてハミング、否、唸り声が聞こえる。Keith Jarrettや「炎のコバケン」を彷彿とさせる。恐らく全部まとめて録音する方法を敢えて選択したんだろう。名作とは得てしてこういう行間の質感が豊かなものだ。

*3:出典はコチラ

*4:T Born Burnett、Buddy Millerと並んで、ここ数年で頻繁に聞かれる名前。プロデューサーとしての仕事のみならず、彼本人の作品も素晴らしい。

*5:ウェブサイトの"Tour Date"を観ると、恐ろしいことに来年の12月の予定が既に入っている。