夢でさよなら(髭)

このバンド、ふざけた名前の割には目覚しい品質の音楽をやってて大好きなんですが、とりわけ好きな楽曲の一つが本作『夢でさよなら』であります。

伴奏とメロディと歌詞とが三位一体となって押し寄せる様は、かの名曲"1979"や『閃光少女』を彷彿とさせます。ただ、それらの2曲とは似て非なるものを感じさせるような気が最初からしていました。

そんなこんなで2012年、街を往きつつこの曲を聴いているときにふとピンと来ました。"1979" も『閃光少女』も視点こそ異なれど青さを歌った曲だと思われる一方で、この『夢でさよなら』は別れや喪失を歌っているんですね*1


歳末になんて暗い話を、と我ながら思いますが、辛く切なく狂おしいその心情は分かる人には分かるでしょう。


胸に抱いていた明るい未来との突然の決別。

それがもはや失われてしまったことを理解しようと自嘲してもみるけど、こういう時に限って気の利いたことが言えない。終わりを受け入れられない。

まるで悪夢でも見ているような気分だけど、それは醒めない。夢ではない。

少しずつではあるけれど、そんな現実に慣れて行ってる自分も居る。でも、上の空でも、寝惚けた侭でもいいから、夢の中に居続けたい。

現実を直視できないから・・・


と。


無駄と分かっちゃいてもbrighter sideを見てしまう、残酷な現実から目を背けてしまうのが人間ではありますが、失うときはあっという間。人生なんてそんなものなのかもしれません。

それでも強く生きて行こう、だなんてアホなことは申しますまい。ただ、そんな世の無常も心の片隅に捧げ置きつつ1日1日を生き抜く強さを2013年も持っていたいものです。


・・・だなんて論評を嘲笑うようにチャーミングな演出が為されたビデオクリップがまた沁みます。特にギターに扮させられてるフィリポさん*2。彼を見ていると、やはり泣き笑いな気分にさせられるのです。



夢でさよなら(初回限定盤)

夢でさよなら(初回限定盤)

*1:題名が題名なだけに「ピンと来た」と言うほどの気付きでもないが、突然に視界が開けた感じがした。そのことに気付いてしまってからというもの、この曲を聴くとヘタすると泣いてしまう。

*2:長髪のドラマー。うちの嫁は彼が妖精だと割りとマジで思ってる。