教育(東京事変)
うちのバンドのドラムス担当にドラムの叩き方を教えていたときの話。
「右手はハイハットをチッチッチッチと4つ刻んで・・・ 左手でスネアを2つ目と4つ目に入れて・・・」
と説明していると、うちのドラムス担当は例によって捨てられた子犬のような目をして、
「右手と左手とさぁ・・・交差するの?」
と、質問とも感想とも取れるリアクション。
「最初は変だと思っても、そういうもんなんだよ。シンバルとか叩き易いし・・・」
と、内心は「ホントにそうか?」と自問しつつ、強引に取り繕おうとしていると、ヴォーカル担当のDちゃんが、
「椎名林檎のドラマーの手、交差してなかったよ」
と素人からのキッツイ突込み。
「え?…そうなんだ?…う〜ん…マジで?…っつうかDちゃん、なんでそんなこと知ってんの?テレビで観たの?俺も見たかったなぁ………………………………で、8ビートだけど…」
似非ドラムス教師が懸命に張っていた虚勢は儚くも崩壊、結局はオーソドックスなスタイルをドラムス担当に強要。なしくずしに練習は続きました。
で、その後、気になって映像を観てみました。椎名林檎女史のバンド東京事変のドラムス担当の刃田綴色さん。確かに手が交差してない。*1サウスポースタイルと言うそうです。
そんな刃田さんのドラムスが存分に堪能できるアルバムが本作。東京事変のデビューアルバムです。最初はとっつき難いと思っていたのですが、如何せん、刃田さんも含めてバンドメンバーの皆さんがことごとく敏腕。その演奏の格好良さに、今更、通勤電車の中で惚れ惚れとしながら聞き入っております。
もともと、ベース担当の亀田さんの演奏には折々感じ入って参りましたが、刃田さんのドラムスにも鳥肌が立つ思いをさせられます。シングルカットされた『群青日和』という曲は、一聴すると、とても爽やかで聴き易くて、鼻歌で歌ってしまうような曲ですが、よくよく聴いてみると、凶暴なプロの演奏家達が真剣を振り回している、もしくはヴァーリトゥード状態でくんずほぐれつしている、そんな曲です。
この曲のサビで刃田さんが織り込む鋭いハイハットによるアクセント*2は分かり易くも、聞く度に思わず溜息が漏れます。
東京事変、2枚目のアルバムが出たそうですが、ギタリストと鍵盤奏者が入れ替わったとのことですから、かなりテイストも変っていることでしょう。楽しみです。
それにしてもサウスポースタイル。かっこいい…。イタリアの種馬ロッキー・バルボアみたいではないか。ヴィジュアル重視の我々としては全くもって望ましい舞台装置。ドラムス担当のKちゃん…サウスポースタイルで行ってみるか。
- アーティスト: 東京事変
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: CD
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