Accepted(Steve Pink)

深夜の地上波で垂れ流されている映画は正に「玉石混交」。

磨こうが削ろうが如何ともしがたい「石」と、光り輝く「玉」とが混じり交わっているのが常です。


ま、実際のところは「石石玉石石」ぐらいのものかもしれませんが、字幕の善し悪しは別にせよ原語で楽しめるところが個人的に好きなもので、たまーにチェックしてしまいます。

まして本作のような、劇場公開どころかDVD化もされなかった名作が紛れ込んでいるのですから、油断も隙もありません。


本作『ようこそ☆おちこぼれカレッジ』という邦題が象徴的なように、なんともお道化フザけに徹底した映画で、乱暴過ぎる面も否めません*1

しかしながらやけに胸にぐっと来るのは何故か。一つには、作品全体を貫くバックボーンがしっかりとしているからであります。


本作、原題は"Accepted"と言います。また、副題に"Reject Rejection"とあります。

どの大学にも入れなかった落ちこぼれが苦し紛れについた噓を噓で塗り固めるうちに、そこは同じ落ちこぼれ達のコミューンと化します。彼らを結びつけるのは、Reject(拒絶)された心の痛みであり、Accept(受容)されなかった心の痛み。本作は「拒絶を拒絶する」というスピリットを体現した学校を巡るお話なのであります。


もう一つの理由が、魅力的なキャラクターが豊富であること。

あるキャラクターが分かりやすい伏線をこれ見よがしに張りまくってくれますが、物語が一段落したところで、あんなエンディングに結びつけてくれるとは・・・。溜息が漏れました。


ちなみに本作の監督はSteve Pink。

Jack Blackの才能をいち早く世に見せ付けた名作"High Fidelity"の脚本共同執筆者でもあります*2


こんな素晴らしい映画を観るためです。たまには英語字幕とにらめっこしながら輸入DVD鑑賞も悪くないんじゃないでしょうか?*3


*1:舞台となる学校の名前が"South Harmon Institute of Technology"、略してSHIT。要するにそういうノリ。

*2:だからこそというべきか、使われている音楽がきっちりツボを抑えている。落ちこぼれ達が続々と集まるシーンでハードロック風の"Eleanor Rigby"が流れた時はそれだけで吹いた。Queenで死ぬほど笑わされた"Shaun of the Dead"といい、Simon and Garfunkelで腹がよじれるほど笑わされた"Kingpin"といい、Marvin Gayeでハッとさせられた"High Fidelity"といい、音楽を有効に使えている映画に駄作はまず無い。

*3:中古盤がAmazon.comで1セントで叩き売られている。