Odelay(Beck)

いつ、どのアルバムのクレジットの中だったか。その名前を初めて見つけて何のことやらチンプンカンプンだった若かりし頃。Wurlitzerという楽器の音色に自分がそれほどまでに強力に魅了されるとは予想だにしませんでした*1

Wurlitzerと言えばDonny HathawayかRichard Carpenter」という古典派から、いやそんなものは古典ではない、あんな人やこんな人が…と言うウルサ型(失礼)まで幅広くファンの居られる楽器だと思います。

そこのところ、我々は80年後半〜90年代前半育ちの所詮ブランク・ジェネレーション。Wurlitzerの洗礼を受けたのも90年代に入っての60's、70'sリヴァイヴァルの文脈の中でのものでしかありません。然れども、翻って人間の嗜好の普遍性というものを感じざるを得ないのは、90年代の音楽にコラージュ的に挿入されているWurlitzerサウンドが、それはもう電気ショックのようにビビッと私の脳幹に響いたことであります。


メジャーデビューしたばかりのBeckの"Loser"を聴いている奴らのチャラチャラした佇まいが受け入れられず、Jeff Beckと勘違いしている「フリ」をしていた高校生の時分の私のヒネクレっぷりは病的なものがありました。しかし、大学に入った頃に出た彼の2枚目のアルバム"Odelay"からの先行シングル"Where It's At"のイントロのWurlitzerのフレーズにコロリと魅せられてしまい、流行りモノも悪くないと日和出したのであります。

その音色だけで個人的にはもう★を幾つあげてもイイです*2


Wurlitzerオーナーになる」


現状、数少ない、私の人生の野心です。


Odelay

Odelay

*1:この頃はMellotronとかRhodesとかE-Bowとかも何のことやらさっぱり判らんかった。

*2:本稿が元々掲載されていたmixiの採点システム。