天才バカボン(赤塚不二夫)

中高生の時分の友人一同の溜まり場の主だった男は、文化的な兄貴の存在も手伝ってか、若くして類まれなる慧眼の持ち主でした。

彼にまつわる逸話について書き出すとキリがないので控えさせて頂きますが、記憶に鮮明なのは、我々が高校生だった(確か中学生ではなかった)頃に、彼が本作『天才バカボン』を評した言葉です。

曰く、


「夜中に独りで読むと怖くて眠れなくなる」


と。

未成年の発言とは思えない成熟した評論。その後、時を経てこの古典を読み返す機会を得る度に、彼の発言の意味するところを噛み締め直すばかりです。


天才バカボン (1) (竹書房文庫)

天才バカボン (1) (竹書房文庫)