The Informer(Jools Holland and his Rhythm & Blues Orchestra)
南青山を歩く度にその姿に見惚れた東京のショウビズの殿堂「ブルーノート」。この度、初めてお邪魔させて頂きました。
まぁ、結論から言うと、ロクなもんじゃ無かったんですけど。
要するに雰囲気がゴージャスなだけ。客の仕切りは酷く、システムもサービスも質が低い。
演奏も最後の最後になってステージの目の前まで食器を下げに来たアホウェイターに告ぐ。バンドがアンコールで演奏してるときぐらいは遠慮しなさい。
ハコがハコなら客も客。
ちょっと順番を取り違えられたからって怒り心頭でクレーム付けてるオヤジ。順番も無視して我先にステージ前に座りたがる熱心な「お独り様」*1。予想に違わずやかましい田舎外人と取り巻き日本人。
とりわけ騒がしかったアホ女どもに告ぐ。押し黙ってろとは言わないが、バンドがアンコールでバラードを演奏してる時*2ぐらいは、喋るなら耳元でやりなさい。
たった一晩の経験だけでお店をコキ下ろすってのも大人気ないですかねぇ・・・。ま、飲み物とおツマミは美味しかったですよ*3。
・・・って、肝心な音楽のことを忘れておりましたが、Jools Holland & Rhythm Orchestra。最高でした。
彼らが素晴らしいバンドであることについては一抹の疑いも持ち合わせていないのですが、如何せんテレビ番組での伴奏バンドといったイメージが強いためか、個別のミュージシャンにスポットライトが当たることはあまり無いのもまた現実です。
が今回、彼らの演奏を生で体験できたことで、派手さは無いものの、素晴らしい個性とタレントの集まりであることがよく分かりました。
魔法のように転がる左手が叩き出すベースラインが印象的なJools Holland。このバンドリーダーの垂涎ブギウギピアノは勿論のことですが、他のメンバーも大変な粒ぞろいです。
ダイナマイト級のコブシを効かせて「あのコはアンタにホの字だよ」と歌うソウルディーバRuby Turner。
円熟に円熟を重ねた太鼓叩きGilson Lavis。
ES335で淡々とリズムを刻む様が実にイナセなギタリストMark Flanagan。
「安定」を体現しているようなベーシストPhil Veacock。
一方では正に「粋」を体現したかのようなホーン隊にキュートなコーラス嬢達。
特に忘れちゃいけないのがRico Rodriguez。あの伝説のトロンボーン奏者の姿は・・・おお!居る!Ricoが居る!ホンモノだ!*4
彼らの存在について思い入れなど全く持っていないウチの嫁も彼らの音楽が気に入ったようでした。彼らの音楽は「酒が進む」んだそうな。身内とは言え、よく分かってるじゃねーか。
まぁ、散々クサしましたが、この、誰も呼ばないながらも素晴らしいバンドを呼んで、ライブを観る機会を作ってくれたことについては、ブルーノートの皆さんに感謝しなければなりません*5。
最後にどこかの偉い人*6に告ぐ、いや申し上げる。
近いところ彼らをフル編成で東京に呼んでやってはくれませんかね?
- アーティスト: Jools Holland
- 出版社/メーカー: Rhino/Wea UK
- 発売日: 2008/11/18
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*1:あんなに前の方で聴いてたら、却って音のバランスはよくないと思うんだが、そんなことは二の次なんだろう。
*2:それもBilly Prestonの名曲"You Are So Beautiful"を演奏しているときにだ。万死に値する。
*3:あと、セットリストがすぐにウェブサイトで公開されているのには感心した。それぞれの曲にiTunesミュージックストアへのリンクも付いていてとっても丁寧(CD売りたい人たちは微妙な気分になるかもしれないけど)。
*4:御年なんと75歳。Ska黎明期から活躍しているのみならず、そのエクレクティックかつチャレンジングなキャリアは尊敬に値する。流石に疲れがあったのか、やはり加齢のためか、正直に言ってソロの音はかなり弱々しいものではあった。ただ、ハンドマイクを手に歌った"I've Got You Under My Skin"を筆頭に、その姿は明るく輝いていた。そして他ならぬ同僚のバンドマン達が彼に対して深い親しみとリスペクトを覚えているということがヒシヒシと伝わった。あれは愛だと思う。ライブ終了後に会場を出ると、そぼ降る雨の中、なぜかRicoさんが佇んでおられた。思わず話しかけて握手をして頂いた。思ったよりもずっと大きくて分厚い掌で力強くワタクシの手を握ってくれた(感涙)。
*5:だんだん日和ってきてる感じが我ながら「ダメな大人」らしい。
*6:余談だが、会場のウェイティングルームで見かけた、タバコを握って喫煙スペースを探す趣でフラフラと彷徨う翁の顔に見覚えが・・・。この御仁であった。レコード会社社長の息子っていう出自も手伝ってかサックスを嗜まれるそうで。意外な素顔。ぜひご尽力願いたい。