Black Ice(AC/DC)

さいたまアリーナにて生AC/DCを初体験して参りました。迂闊にも感動してしまいました。ここは最新作"Black Ice"に託けて、ちょいと語らせておくんなまし。


アンガス・ヤングのストリップといい、数々の大道具*1といい、彼らのライブは、その魅力がとにもかくにも分かり易いことをハッキリと再確認した今回の初体験。

懐かしさすら覚えるあの心地よさは、彼らのライブのエンタメとしての構造が実は『8時だョ!全員集合』と相似形にあることが一因としてあることが何となしに伺え、人種や世代の壁を越えて全世界で享受されている理由が大変よく理解できました。


間違いなく部長級、ヘタしたら取締役といった風情のトレンチコートを着たオッサンが独りで観に来てるわけですよ。

それもグッズの電飾ヅノをアタマに着けて*2

で、"Thunderstruck"で「アアア アーアアアー」って唸ってる。

そりゃ独りで来ますわ。あのアラレもない姿は部下にも家族にも見せられる姿ではありませんよ*3


なお、演奏は鉄壁でした。

改めて気づいたのはドラムの良さ。モタっているのではないんだけど、感覚的に、ちょっとだけ、微妙に、ほんの少し「後ろ引かれ気味」なのです。

で、ハイハットの音が異常に分厚い。クローズドでも分厚い。これぞ正にヘビーメタルではないか。真髄を感じた次第です。


で、これも生でステージ全景を見て初めて分かったのですが、マルコム・ヤング*4とベースのオッサン*5は、通常時はドラムセットの脇で固まってて、コーラスを入れるときだけ、ほぼシンクロしたタイミングでマイクに歩み寄って、同じくほぼ同時に元の立ち位置に戻っておりました。

もう、延々とその繰り返し。

で、ヴォーカルのハンチング帽とアンガス・ヤング*6がワイヤレスで好き放題に暴れるって構図なわけです。


何より感動したのは、アンガス・ヤングが延々とへなちょこギターソロを弾いてるときのこと。ステージは暗転しているのでバンドは裏で休んでいるのかと思いきや、真っ暗なステージで皆じっと待っている。立ったままで。ヴォーカリストすらそのまんま。

心が打ち震えた瞬間でした。


いやぁ・・・ブライアン・ジョンソン(ハンチング帽のヴォーカリスト)、62歳だそうですよ。

マルコム・ヤングももうすぐ還暦(ちなみにアンガス・ヤングは54)。細かいところを観ればアラは幾らでも見つかるのかもしれませんが、広いステージを常にあちらこちらへと駆けずり回りながら全力でパフォームしているそのフィジカルの強さだけでも尊敬に値します。


当日は17時過ぎから始まったコンサートが終わったのが19時過ぎ。埼京線に延々と乗って帰宅。晩飯食べて、一息ついて、ネットを眺めてみると愕然。

そこには


AC/DC一行が関空に到着」


という一報が。

これが本当のロード・バンドなのか・・・鉄のセルフ・ディシプリン。自分ならまずは一杯飲んじゃうもん。

AC/DCに自己管理を学ばされるとは・・・日本経済の没落も宜なる哉、であります。


Black Ice

Black Ice

*1:今回はとりわけ"Rosie"が曲(もちろん"Whole Lotta Rosie")にきっちりと合わせて激しく足踏みしていたのが印象的だった。想像通り、スタッフによる手動式らしい。

*2:此のどこかにいる。

*3:その姿は神々しくもあったが

*4:本ブログでは原則として欧米人の氏名は言語(アルファベット)で表記しているが、珠にどうしてもカタカナ表記したくなる人達がいる。マルコムとアンガスのヤング兄弟もその筆頭。

*5:この人に至っては氏名そのものすら表記したくない。

*6:ドリフで言うと、この二人が加藤と志村。