Tell Me Baby(Red Hot Chili Peppers)

さて、チリペッパーズの名曲ですが、改めて歌詞を読んでみると、オーディションを想起させる内容なのですね。オーディションなんて受けたことはありませんが、


Tell me baby.

What's your story?


と聞かれて自分をドシドシ押し出していける人ぐらいでなければ、オーディショニーは務まらないんでしょう。

本作のプロモーションビデオに出てくる素人(セミプロもいるかも)の皆さんのように。



皆さん、このビデオへの出演を機にしていったいどんなチャンスが掴みたいのか全くわからない、はっきり言ってどこかネジが外れたような人ばかりですが、その表情が異常にイキイキしているのは、夢がポジティブに作用しているからでしょう*1

それは、ちょっとした「仕込」も手伝ってのことだったようです。




皆さん、当日、チリペッパーズのメンバーがその場に来るって知らされてなかったんですね。そりゃヴォルテージも上がるでしょう*2


一方の乱入する側のチリペッパーズの皆さん。

オーディション風に氏名を名乗り、カメラの前で自分の夢について語る表情は穏やかですが*3、乱入前のスタンバイ時に彼らがいちいち緊張している*4のを観ると微笑まずにはいられません。

自分が無名であった頃の緊張感を思い出してのことかもしれません。


この"Tell Me Baby"という曲が、様々なバックグラウンドを持ったこれらの人々をまるで抱擁するような曲になっていることがそもそも素晴らしいと思うのです。


Tell Me Baby

Tell Me Baby

*1:撮影監督が端的に語っているが、彼らはイタい"Sad Dreamers"に見えるかもしれないが、その情熱は業界のプロフェッショナル達に初心を思い起こさせるほどに強烈だ。

*2:撮影終了後も、取組後の力士のごとく息を荒げている奴もいる。どいつもこいつも最高で差はつけられないが、個人的にはカーキのジャケットを着たヒゲのチカーノがChad Smithのスネアに振り返るあの瞬間がハイライトだと思う。思い出しただけでニヤけてしまう。

*3:「夢など無い。夢の為にバンドをやっているわけではない。楽しいからやっているだけだ」と語るAnthony Kiedisの表情は穏やかなれども力強い。初めてのセッション中に弦を切ったJohn Fruscianteについて「セッションの時間をちょっとでも無駄にしたくなかったのか、弦を交換するのが異常に早かった。あんなに早いやつは観たことが無かった」とChad Smithが述懐するシーンは笑えるが泣ける。

*4:「いいな。持ち時間は1分。余力をセーブする必要は無い。最初から全力で飛ばせ」という指示を本番直前の出演者たちが神妙に聞く裏で隠れてスタンバイするChad Smithは「10分ごとにクリスマスが来るみたいだ・・・」と心境を語る。下手したらChad Smithの方が緊張している。