All My Treasure(織田 裕二)
正直「織田裕二が足らないな」と思っていたところでした。
その矢先の世界陸上2007。メダルが幾つだの、ロジがなってなかっただの、ボランティアだからしょうがないだの、むしろ本当に悪いのは別の奴らだの、それにしても閉会式が寒かった*1だのと、さして(むしろまるで)興味がなくとも、様々な声が漏れ聞こえて参りました。
が、今回も、それらの事柄は、はっきり言って、どうでもよいのです。
「織田裕二」の言動に比べれば。この歌が聴こえて来るだけで、ワタクシの心はそわそわと浮き足立つのです。「織田裕二」のことを思い出して。
- アーティスト: 織田裕二
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あれは400メートルリレーの準決勝だったでしたか。「織田裕二」の異常な燥ぎぶりを目にすることができたのは。個人的には僥倖とすら言える悦びでした。
日本記録、いやアジア記録を出した日本代表の4人の走りに当てられた彼は、さも堪え切れないといった様相で
「ざまぁみろぉぃ!」
と言ったのです。
確かに言いました。
その発言が誰に対するものであったのか、実際に一言一句その通りの発言だったのか等ということは、私にとって瑣末でどうでもいいことです。
むしろ重要なのは、そのボキャブラリーと声色とによる自己演出が醸し出す、まるで固体感すら感じさせる磐石の「きまりの悪さ」と「救いようの無さ」*2の方。自分の肢体四肢の隅々に潜む、怖いもの見たさに似た感情。それらが全身で一斉に疼きだすのを感じるような、そんな興奮を味わうことができました。
あの劇物が何のフィルターにも濾過されず、生放送で全国に放送されているスリルとエキサイトメントに比べれば、100メートルを9秒で走ることなんざ、どうってことはないのではないでしょうか。
然は言えど、冷静になって考えみると、仮にもトップアスリートの晴舞台なのですから、一番深く感動、興奮するのは主人公であるところのアスリート達であるべきだ、と思うのは常人の情かもしれません。
真に残念ではありますが、現実には彼らには選択権はありませんでした。興奮して周囲には手が付けられない様相の織田さんと直接の会話を強いられた400メートルリレーのアンカーの方(朝原さんだったか)、完全に困惑気味でした*3。
自分の生業が陸上競技であったがばかりに織田さんに対峙せざるを得なかった数々のトップアスリートの皆さんに同情と尊敬と感謝の念を心より捧げます*4。
ありがとう神様。おかげで僕は今年も「織田裕二」を補給できました。
嗚呼、それにしても世界陸上。誰か、織田氏の出演シーンだけ「抜き刷り」のような映像集を作ってはくれまいか*5。
*1:河内家菊水丸さんによる『レゲエ・ボンオドリ』、『ロック・ボンオドリ』で締めくくられたらしい。日本人は長野オリンピックの萩本欽一から何も学んでいないということを、ナンシー関女史の霊魂にきちんと伝えたい。
*2:いっそのこと英語でembarrassment & helplessnessと言った方がニュアンスは正確かもしれない。
*3:彼が迷惑な存在であることは確かだが、「自分が良識派である」という傍迷惑な自尊心が前面に出ていないだけ小倉某よりはまだマシだと思う。
*4:「おまえらテレビはそんなに偉いのか」、といつも思う。あんな環境に置かれ続ければ、いくら強靭な肉体を誇っていようが、心が未成熟な方であれば、たとえば自分探しに飛び立ってしまったり、挙句の果てに摩訶不思議な結婚なんぞしてしまったりしても決して不思議ではない。