修羅場(東京事変)
注目。
ペトロールズ(東京事変)長岡氏がまた良いことを言ってます*1。
また長くなるでしょうが、もう諦めてお付き合いください。
氏曰く、
『基本的に楽器は見た目で選びます。』
と。
そう言う人、決して珍しくありません。
「ワタシって、よく居るギター馬鹿じゃないんですよぉ。実際、エフェクターのことなんかも全然詳しくないし、やっぱりアンプに直結が一番って言うか・・・」
的な事をアピールしたいんでしょうか。
「何をカマトトぶってんだ、このアバズレが!!」
とビッチスラップの一つや二つでもでもカマしたくなるようないけ好かないナチュラリスト連中ですが、少なくとも長岡氏がそういう輩でないことは、件の発言の続きでよく分かります。
曰く、
『見た目で選ぶとどういうことが起きるか? そう、音が良くなかったりする。』
と。
マニアックなものに固執して、音が良くないということでむしろ喜んでるローファイ馬鹿っています。
道の途中では誰しもが「ヘタウマ」に心憧れるものです。が、「ヘタウマ」道もまたそんなに甘いものではございません*2。
ましてや、安くて質の悪い機材にこそ本物のソウルが籠もっていると信じて疑わない皆さんには、あのJello Biafraが歌った名曲"Holiday in Cambodia"を贈りたいものです*3。
が、長岡氏はそういった、ローファイ馬鹿でもありません。そのことはさらに続く発言で分かります。
曰く、
『その結果生じる義務はそいつをどうにかして鳴らす、ということです。機材やら足周りの問題じゃなく、弾き方の問題です。』
と。
どうにかして鳴らすことを「義務」、「弾き方の問題」とまで言い切っているところに、彼のプロフェッショナルとしての誇りと覚悟を感じます。
『今は優等生な楽器が多いですが、それらには目もくれずなんっか知んないけど茨方面に行ってしまう。』
と、自分の性癖を呪う素振りを見せながら、
『でもそういった茨楽器をきちっと鳴らす先輩方を俺は知っているから自分にも出来るんじゃないか、と信じて通じない言葉を楽器に投げ続けるわけです。』
と、真剣なことをシレっと言っちゃう。
彼はやはり誠実な演奏家です。
氏は言います*4。
『楽器をやる方々、楽器は見た目で選びましょう!』
と。
しかし、彼は最後にこう付け加えます。
『そして苦労しましょう!』
と。
彼の「誤魔化さない」という態度は演奏のみならず、文章にもきちんと表れていることを知って、勝手に嬉しい気持ちにさせられました*5。
そんな、彼と彼のバンド「ペトロールズ」の音源がさっさと一般発売されておれば、レビューって形で駄文を捻り出せそうなものですが、今のところ一般発売されていないので、彼が東京事変に参加して最初に世に出たシングル盤に無理矢理託けることとしました。
エレピとブレイクビーツとガットギターの組み合わせが光るタイトルトラックも然ることながら、2曲目の『恋は幻』のカバー演奏でのギターもまた光ります。
深くかかったreverbで実際にヌラヌラと鈍い光を放っているようなギター。
林檎嬢のオーダーはサザンの『そんなヒロシに騙されて』だったらしいですが、それを受けて、
「原坊でいいんだよね」
ってな具合に、このギターを弾かれたんだそうですからプロの世界は恐ろしい。くわばらくわばら。
- アーティスト: 東京事変
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- 発売日: 2005/11/02
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