High Fidelity(Stephen Frears)

非常に恵比寿ガーデンシネマっぽい映画。

ミックステープ編集*1の掟を語ったり、娘の誕生日にStevie Wonderを買いにきたオヤジをコキおろしたり、音楽の趣味が合う女の子にトキめいちゃったりしている登場人物達を観ていると、かつて自分の私生活が密かに何者かによって何処かから覗かれていて、その何者かによる報告の内容が脚本化されたのではないか、とすら思わされます。

それ程までに恐ろしい作品です。


この映画を初めて観たときはJack Blackの名演に感激した*2ものですが、"School of Rock""Tenacious D: The Pick of Destiny*3"と続くと、「彼は演技なんかしていない≒要するにあれが素」ということがよく分かりました。


ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

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*1:カセットテープのA面とB面とのそれぞれに、どれだけ無駄なく、それでいて流れを重視して、演奏者が二度と被ることが無いように曲を入れられるか。さまざまな要素を勘案して計算に計算を重ね、いざダビング(最近とんと聞かなくなった言葉)という段階になって「1分=100秒」で計算していたことに気づいて自己嫌悪に陥ったのは中2の頃だった。そんな風にCDを1枚1枚取り替え引き換えして1本のカセットテープに曲を移していく苦しみは、実は悦びと紙一重なマゾヒスティックな作業だった。「最近の若い奴ら」云々という物言いは極力避けたいが、ミックステープを作る苦労と悦楽を知らない最近の若い奴らが不憫でならない。

*2:クライマックスでの彼の歌唱(未見の方は是非映画でご覧頂きたいが、こんな感じ)。ワタクシ、心が揺り動かされ、恥ずかしながら実は泣いた。

*3:実はまだ予告編しか観ていない(その時点で死ぬほど笑った)。日本での公開が待たれるが、関係者情報に拠ると劇場公開は確実ながら来年中の公開は微妙らしい。