Rhapsody Naked(RC Succession)

以前、SpecialsやHuey Lewis & The Newsの面々の不適な表情を称えたことがございましたが、本作のジャケットのRCの皆さんの面構えたるや痺れます。若い。尖り切っちょる。

『笑っていいとも』の「テレフォンショッキング」に出て来ると、必ずギターを持っていて、決まって登場に合わせて歌い出す、ヒッピー臭漂う清志郎さんが苦手でした。

70年代後半生まれで、実質的にはバブル経済すら経験していない、世紀末のハードボイルドブランクジェネレーションの先駆けであったのかもしれない自分には「あいしあってるかい」なんて文句は全く以てもっての他。高校時代にアコギ一本でRCサクセションを歌う同級生を心中「阿呆じゃないか」とバカにしていたりもしました。

そんなワダカマリのような感情を誠に一方的に抱いていたわけですが、最近になって復刻された本作のジャケット写真を見て、そんな頑なな気持ちが氷解するのを感じました。自分の祖父や祖母の若かった頃の写真を見て、得も言われぬコンテンポラリー感を覚えて、妙に感情移入が進むことがありますが、正にそんな気持ちでした。


清志郎さんのシャウトから始まって、チャボさんのギターがイントロを刻んで、以前のレビューで杉作J太郎扱いしてしまった梅津さんのサックスが炸裂する名曲『雨上がりの夜空に』。あの曲を聴いてしまうと、万人が万人とも清志郎さんのモノマネしたくなるんでしょう。


清志郎さん、喉頭癌だそうです。ワンちゃん*1は胃に、うちの伯父は肺等に癌発覚。

みんな戦っているんですね。大人は凄いなぁ。清志郎さんにはまたあの歌声を聴かせて頂きたい。ワンちゃんはもう働かなくてもいい気がする。伯父さんには、「江戸川橋鰻屋に行く」という約束を是非果たして頂きたい。皆さんの無事の復帰を心より祈っております。 *2


RHAPSODY NAKED (DVD付)

RHAPSODY NAKED (DVD付)

*1:言うまでもなくソフトバンクホークスの監督の王貞治氏のこと。第1回WRCで二度までも韓国に敗れた時「ワンちゃんの胃に穴でも開かねぇとこのチームは分かんねぇんだよ」と毒づいたものだが、まさか穴が開くどころか全摘出する羽目になるとは思いもしなかった。それを優勝の代償と取るのはあまりに下世話かもしれないが、ともかく、彼を中心とした一つのチームがたかがスポーツで全国を泣かせてくれた今年のWRCのことを自分は一生忘れないだろう。低迷続きの時期にファンに卵を投げつけられながらも決して泣き言や言い訳を漏らさなかったと言われる王監督だが、愛妻に先立たれ福岡の餃子居酒屋テムジンで独りポツネンと飲みながら「俺だって辛いんだ」と漏らした横顔が忘れられない。涙が出る。失礼を承知の上で心からの尊敬と愛情を込めて常日頃から「ワンちゃん」と呼ばせて頂いている。

*2:追記:結局、清志郎さんは亡くなってしまった。伯父も本稿をアップしてから2ヶ月も経たないうちに逝った。