Swingin' Caravan(小島麻由美)

小島麻由美さんのコンサートを観てきました。 本作のリリースに合わせてホール会場を回る演奏ツアーの東京公演です。


会場は細野晴臣御大も最近プレイしたという九段会館。何せ、かつては軍人会館であったこの建物。「日本遺族会」などという看板も見えるホテル・宴会場側の正面方面は非常に厳つい雰囲気を湛えております。

が、大ホールの入り口はショボい駐車場を抜けたところ。お隣りの千代田区役所は図書館目的で頻繁に自転車で訪れていることもあり、非日常感覚はありませんでした。

が、大ホールの内側にはちょっとした昭和世界が展開されておりました。


テイストは豪奢という程でもなく、古くて豪華な市民ホールといった趣。ただ、迫出する3階席の絶壁感は目覚しく、自分でも上がってみたという小島嬢(高所恐怖症らしい)もステージでその存在に触れておりました。

自分の席は「か」の列だったのですが、席を探し当てて座ってみると思っていたよりもステージから遠い。あれ?と思うや否や納得。席順、「あいうえお」順ではなくて、「いろは」順なんですね…そう来ますか。


で、肝心な演奏ですが素晴らしかったです *1

強いて言えば、音のまとまりが良いとはいえなかったことと(特に序盤)、演奏者のレイアウトと席の位置の都合上、ASA-CHANG氏のドラムス演奏が全く見えなかったことができなかったのが残念ではありました。


ともかくASA-CHANG氏、ギタリストの塚本氏の演奏に惚れ惚れしたことはもはや言うまでもありませんが*2、Dr. KYON大先生のピアノ演奏を生で聴く機会に恵まれたことは望外の幸せでありました。


サキソフォンクラリネットを担当されていた梅津和時さんという方は、私でも御名前を聞き及んだことのある著名な方だけあってやはり凄腕をならしつつ余裕のステージングでらっしゃいました。



サックスをぶら下げてステージ上で踊る彼が時に杉作J太郎氏に見えた、というのはご愛嬌でしょう。



その隣でトロンボーンを吹いていた方はベースボールキャップを被っていたり*3、途中で誤って楽器を解体してしまったりで、文系大学生的雰囲気の漂う方でしたが、実はバンド"Your Song Is Good"のメンバーの方だそうで。ミュージシャンの皆さんはどこでどうつながっているのやら、分からないものですね。


そして特に何よりも感銘を覚えたのは、在り来たりなアンコール演奏が無かった事でした。

プロフェッショナルな演奏家の皆さんはアンコールなど無くとも本編の演奏だけでお腹いっぱいにさせるのが当たり前。アンコール演奏は、居てもたっても居られない観客の気持ちと、居てもたっても居られない演奏者との気持ちが一つになった時だけのスペシャルなものにしておいてほしいというのが最近の私の気持ちです。

アンコール演奏がないとその日の演奏がスペシャルでないというわけでは決してありません。最後にホーン抜きで演奏した、本作収録の『星の王子さま』は、Dr. KYON大先生のオルガンの音がなんとも心地よい素晴らしいクロージングでした。


スウィンギン・キャラバン

スウィンギン・キャラバン

*1:むしろ「素晴らしい」などと評すること自体が失礼だと思われる。実は序盤〜中盤の数曲でウトウトと眠りに落ちてしまい、そのことは秘密としたかったのだが、同行者に思いっきりバレていたので此処に白状する。あまりの鉄壁の演奏に安心して思わず…ということで何とか手を打ちたい。ちなみに弊バンド「エロひじき」の演奏ならば、一睡もさせない自信がある(傍から観てるだけでハラハラしてそれどころではないだろう)。

*2:以前、下北沢にてギター演奏を聴いた際もそうだったが、自分でギターを演奏する気が失せた。…とか何とかホザいてたら、同行者から「いじけてんじゃねぇよ」との端的な御叱りを受けた。う〜む…ごもっとも。

*3:ばっちりスーツの梅津氏とのコントラストは激烈だった。