Anthology(John Lennon)

昭和62年(1987年)のことですから、現在から時をさかのぼること約20年。教祖・内田裕也氏が東京都知事選挙に出馬いたしました。


「パワー・トゥー・ザ・ピーポー♪ パワー・トゥー・ザ・ピーポー♪」


John Lennonの歌でいきなり始まった氏の政見放送には度肝を抜かれました*1が、彼のような例外的に劇的な人物の手によって結果としてJohnさんのイメージがどんどん歪められていくのも、元はといえばJohnさんご本人が非常に危険な御仁だったことを考えると致し方の無いことなのかもしれません。


Johnさんが「危険人物だった」と言うことの意味は、CIAに代表される当時のアンチ左翼のアメリカ社会が彼を「危険」だと認識した、という狭い文脈の話ではありません。

彼の残した歌を聴いて「確かに彼は危険だった」と思うのは、表現があまりに直接的だからです。


彼の残した音楽や詩や思想がいつの世だって誰かを惹き付け、人に拠っては「危険だ」と認識されて止まないであろうと思うのは、そのテーマが革命であったにせよ、恋愛であったにせよ、家族であったにせよ、平和であったにせよ、友情であったにせよ、彼は何時だって彼が生きたその時に感じていたことをそのまんま歌にしたファンダメンタリストだったからで、根本的にはそれ以上でもそれ以下でもないと思います。


Anthology

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*1:この御仁はその後、"Are You Lonesome Tonight"を続けてアカペラで歌った挙句、残りも全てド下手糞な英語で「政見放送」を終えた。あの時"I was born in Kobe, 1999"と言い放った彼の発言をそのまんま放映したNHKは正しく国家の手先であるがために反国家的な所業を全国に放映するというジレンマを体現していたと思う。内田さん…あなたはターミネーターなのか?