Justice for All...(Metallica)

まだ幼かった頃、「指揮者」って必要ないんじゃないかと思っていました。

指揮者のいないオーケストラの演奏を放映して、指揮者がオーケストラにおいて果たす役割を説明してくれたのは、確か所ジョージの番組だったような記憶があるのですが、曲りなりに楽器演奏を自分でやるようになると、あれだけの人数の演奏者達が一つにまとまった演奏を聴かせるためには、文字通り指揮者が必要なのではないかと、実感としてイメージを持つことができるようになりました(実際のところは、演奏できないこともないらしいのですが)。


一方、同じくまだガキだった頃、ベースってロックバンドに要らないんじゃないかとも思っていました。

今となっては、ベースのいないバンドでギターとして演奏することの物足りなさ、と言うか所在なさったらないな、と実感として思えます。

ただ、それでもかつて自分が感じた疑問があながち的外れでもなかったと思えることの背景には、当時の自分がスラッシュ・メタルばっかり聴いていたということがあります。


スラッシュ・メタルの代表選手Metallicaが初代ベーシストCliff Burtonを事故で失った後にリリースした本作ですが、どう頑張ってもベースが聞こえません。

せっかく大物バンドの一員になったのに最初の作品がこれでは、新ベーシストのJason Newstedさんも正直泣けてきたのではないでしょうか。

ただ、幸か不幸か、ベースの有無は本作の良さにさして影響していないようです。ロックバンドにベースっていらないんじゃないかと思っていた当時の私が、他の音楽を聴いたところで、ベースが何処でどんな風に鳴っているのかイマイチ判別できていなかったであろうことを考えると、増してや本作を聴いてたのだから仕方ない、と思います。


余談になりますが、Metallicaの前作"Master of Puppets"には『メタル・マスター』、本作"Justice for All…"には『メタル・ジャスティス』といった具合に、まるで冗談みたいな邦題が付けられていて今になると笑えます。

以前にも映画の邦題のことですったもんだと書きましたが*1、原題を付けた人間の気持ちを踏みにじっている、とまでは申しませんが、基本的に無視していることは間違いないと思います。


...AND JUSTICE FOR ALL

...AND JUSTICE FOR ALL

*1:こんなのや、こんなの。