give out but don't give up(Primal Scream)

今年6月にはリリースされると言われる新譜が、かなりハンドメイドなロックンロールに仕上がっているとの情報*1を得て以来、Primal Screamについて個人的に心がかなり盛り上がっている*2ので、今更感の強く漂う本作を勢い余ってご紹介申し上げます。


それはそうと、リリース当時、このアルバムを「ストーンズの真似っこだぁ」、「ストーンズの真似っこだぁ」、と散々囃し立てた奴らに物申したい。

まずもってワタクシにはこのアルバムをどうひっくり返して聴いてもストーンズには聞こえん。百歩譲って仮にそうだとして、だからなんだと言うのだ。お前らみたいなオリジナリティ至上主義者の心無い横槍に取り乱し、傷ついた結果、Lenny Kravitzは再起不能になってしまったではないか!もう!プンプン!


…と、被害妄想プレイを気取ってみましたが、チキン坊Lennyさんはともかくとして、Primal Screamの皆さんは思いっきり肝っ玉が据わってらっしゃるので、大丈夫。

思えばその昔から今に至るまで、サイケ、ガレージ、ハウス、ロック、ダブ、パンク、とひたすら美味しいトコロ取りの応酬で音楽業界を確信犯的に渡り続けてきたPrimal Screamの皆さんのことですから。

ただ、そんな彼らにしても、正直なところ、本作の出来については忸怩たるモノがあったらしいです*3。本作以降は分かりやすくも思いっきり左方向に舵を切っていくことになります。

グワングワンドヒューンドヒューンの残響音が蔓延るダブ銭湯で長湯対決の延長戦。ビビビビ・ドドドドと喧しい電子ビートとBig MUFFでドーピングしたInnesのLes Paul Jr.の咆哮が楽しめるサイバーパンクは道場破りを連続敢行。イメージをそのまま文字にしてみたら、なんのこっちゃさっぱり分からん独り善がりな文章になってますが、要するに新作をリリースする度に時々の旬な装いを纏って多種多様な趣を味合わせてくれるPrimal Screamの皆さんのお仕事を、私は誠に勝手ながら信頼しております。

そんな彼らが次に繰り出すロック・アルバム"Riot City Blues"の行方から目が離せません。言いたいことはそれだけです。


それにしても、本作収録の"Call on Me"などを聴くと、金管楽器隊の入ったロックバンドの佇まいって本当にいいもんですねぇ…と水野晴郎的台詞が口をついてしまいます。その視線の先の遠い遠い先にはJohn BelushiとDan Aykroydが黒いスーツに身を包み、真っ白いシャツに極細ネクタイをキュッと締めて"Shake Your Tailfeather"に合わせて踊っている、という寸法です。


※4/17/2006 追記
Riot City Bluesからのシングル1発目"Country Girl"。遂に聴きました。カッコイイ。心なしかバグパイプすら聞こえている気のするケルティック・ロックンロール。もうクソカッコイイです。この21世紀に「What can a poor boy do?おうちに帰んな、ママが面倒見てくれるさ」だそうです。しかも最近のライブでは古株ギタリストYoungさんはなぜか休養しており、代わりにあのBarry Cadoganがギターを弾いているそうで!ソースに忠実に書き出すと、微妙にスペルが違いますが、おそらく、あのMorriseyのバックでもギターを弾いていたLittle Barrieのフロントマンでありましょう。Little BarrieLittle Barrieできちんと続けてほしいものですが、Primal Screamのオッサン達とあの新進気鋭のギタリストがどう絡んでいるのかについても興味津津です。


Give Out But Don't Give Up

Give Out But Don't Give Up

*1:個人的に尊敬するAndrew Innesの演奏楽器クレジットにはなんとバンジョーまでがリストアップされている。

*2:尚且つPortisheadの偽新譜情報に踊らされた心の傷も癒えつつある。

*3:制作プロセス全般がクスリまみれだったため、どうやって作ったかを単純に記憶していない、という説も有力。