Some Might Say(Oasis)
これまでバンド練習について色々と書いてきたので**1、この際、日誌的に書くのもまた一興かと思ったので、こないだの練習(4回目)についてダラダラとご報告申し上げます。
今月はメンバーのタイミングが合う日が見つからなかったため、練習は金曜深夜に強行。結果的には悪くなかったです。
身も心も早くから老衰*2しているメンバー諸君*3だけに、仕事明けの深夜練習のダメージは各々にあるかとは思いますが、終わったその翌日も「まだ土曜日」であるということは、精神衛生上とても好ましいものです*4。
あの時間だと誰かしら車で来ざるを得ないため、練習が終わってそのまま無条件に飲みに行って泥酔してなんだかんだで翌朝までコースで朝早く家に帰って気絶するように眠って気がついたら下手すると夕方でぶつぶつぶつ…というシナリオも回避できる可能性が高まります*5。
ところで「練習スタジオ」という場所は、行ったことのない人にはとってはイメージがし難い場所かもしれません。
先ずもって、何時に行っても店員が判を押したように「おはようございます」と挨拶する時点で、非堅気的・業界人的雰囲気を自ら進んで醸し出しているようで鼻持ちなりません。
ロビーで偉そうに屯する訳知り中年バンドマンから、店の前でタバコをふかしながらやたらと唾液を撒き散らすクソガキまで、一部、社会的汚物の掃き溜め状態になっている、と言うこともできないこともないでしょう。
ただ、そんな表面的な臭みに目をつぶりさえすれば*6、大声出そうが、騒音出そうが、踊り狂おうが、瞑想しようがOK。物を壊したり場所を汚したりしなければ大丈夫です。そこは、自分たち次第で、超弩級に興奮することもできれば、滅茶苦茶に凹むほどに悲しくなることもある、云わば大人の遊戯場であります。
ちょっとした騒音の一つや二つから裁判沙汰だって刀傷沙汰だって起こり得る生き辛い世の中です。普通の生活をしている人は家に置けないドラムセットをバカスカ引っ叩いてストレス解消するもよし、強力なパワーを持ったギターアンプ、ベースアンプのツマミを思いっきり右に回して、耳鳴りを患うほどに弦を振るわせるもよし、美声悪声をマイクロフォンに向かって思いっきり照射するもよし。ともかく老いも若きも、アオいのもアカいのも、自分を解放できる場所、それが練習スタジオなのです。
週末とは言え、あんな深夜に町田クンダリの練習スタジオに人なんか居やしないだろうと思っておりましたら、果たしてこれが大盛況。練習終了後ロビーに出ると、次に部屋に入る子供たちが、正しい横浜銀蝿的スモーキング・ブギー・スタイルで待っておりました。
アマチュアバンド界、何はともあれ活発でよろしい…いや、それよりもお前らは深夜2時からスタジオに入るまで何処で何をやってたんだ、おウチに帰っている時間なんじゃないのか?とドリフターズ的な思考回路で訝しげな気分になっておりましたら、
「これ誰か忘れてませんか?」
とその中の女子。その手を観ると、ギターアンプの上に置いてきた自分の電話。
「はい」
と恭しくも富永一朗的に挙手して感謝恐縮する始末。大人なんてそんなもんです。
そんな子供たちばかりかと思いきや、なかなかの妙齢の皆さんもおられる。我々の練習していた部屋の隣の部屋を横目で覗くと、微妙なお年頃のお姐さん方がこともあろうにThe Venturesのコピーを演奏しているではありませんか。漏れ聞こえる音から察するに、Reverb(残響効果)を効かせたメタリックなサウンドはかなり本格的である上に、演奏も上手い。でらカッコイイ、ばりカッコイイ、なまらカッコイイ。どれでも異存はございませんが、ともかくクールな魅力を湛えた姐さん方でしたな。
ここは我々も負けてはいられないというものですが、なかなかどうしてバンドらしくなってきました。今回もドラマーKちゃんの「捨て犬のような目」に苛まれることが幾度かありましたが、何より素晴らしいことに彼は「上達」しています。曲の途中で間違えても「一人で戻って来られる」ようになりました。それだけではなく「バスドラムを使う」ということを覚えました。
ギターを弾きながら、まだ弱々しい彼のバスドラムの音が聞こえることに気付いて、よく観てみると、定期的にかすかバスドラムの表面が振動していることに気付いたときの感動。
「彼は(ひいては我々)は上達している」
という実感。これはバンド活動の醍醐味中の醍醐味であると言えます。*7
バンド発足以前の強引なメンバー決め(@養老の滝 秋葉原店)から今日に至るまでのその発作的なストーリー展開はまるで初期のドラゴンクエストの様です。ドラゴンクエストIIIで例えるならば、我々のパーティの中で「遊び人」的ポジションにいるのがベーシストのカトウ君*8でしょう。
先日、私とタイマンで個人練習を執り行うべく予約を入れた四ツ谷のスタジオ近くに車を止めた後、あろうことか新宿方面に徒歩で逆行。結果、スタジオを2時間押さえていたところ、1時間45分遅刻。今回の練習では、直前の飲み会にたまたま女性が居合わせたため個人的に盛り上がったらしく、終了1時間前を過ぎて泥酔一歩前でスタジオに到着。むしろあの状態でどこかに楽器を放置すること無く、顔を出しただけでも偉いと思っておりましたら、自らも「自分を褒めたい」と発言しておりました。流石ですな。
フラフラながらも、まともに弾けていた、あまつさえ前回トチっていたところを曲がりなりにも弾けるようになっていたことは賞賛に値しますが、それもこれも素面になったら逆戻り、っていうジャッキー・チェンの酔拳みたいなオチを、彼には期待せざるを得ません*9。
他にトラブルらしいトラブルと言えば、ミキサーの使い方がちゃんと分かっていなかったためヴォーカル用のマイクから拾った音が実はまともに増幅されていなかったことが発覚したことぐらいでしょう*10。スタジオの店員さんに「ここのミキサー分かりにくいんですよねー」と同情されるも、何がどう分かりにくいのかも分からない始末。VocalのNくん、Dちゃん、面目ない。秘密兵器的ヴォーカルの「ハロープロジェクトF」の投入前に発覚してまだ良かった、と言ってくれると嬉しいです。
…というわけで、いつもの癖でダラダラと思うままに書き連ねてしまいましたが、実は我々のレパートリーは多く見積もってもまだ4曲*11。ちなみに演奏は聴けたものではございません。30歳でのステージデビューに向けて精進あるのみです。
…とかなんとか考えつつ、次の日程を調整すんの忘れたぁ…と思いながらカレーを作ってたら指を切ったわけです。残念。
で、なんでOasisの"Some Might Say"なのか。 こないだの練習が終わってロビーに戻ったら、この曲が流れていたのです。
「あまりにも下手だ」という理由で眉毛のGallagher兄弟から精神的肉体的暴行の限りを受けた後、脱退していった(クビにされた)Oasisの初代ドラマーTony McCaroll氏の最後の仕事が聴けるこの曲。普段何気なくレビューを書き散らかしている時であればこの頃のOasisを聴いて「良い」とは思っても「上手い」という言葉だけは死んでも出てこないはずなのですが、自分たちの練習が終わった後に聞いたら普通に「上手いな」と思ったのです。
これは色んな意味で恐ろしいことですよ。
あの頃のOasisがやってたコトも出来ない(かもしれない)というコト。自分たちが出来もしない(かもしれない)コトを捕まえて「下手呼ばわり」していたというコト。どちらにしたって現実であるとは信じたくない、穴があったら入りたくなるようなそんな心境に違いありません。
はぁ…この文章を書いていて、ふと我に返り、ちょっと謙虚になりました。先は長い。カトウ君、次のスタジオ、いつにしようか?
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