Sleep With Angels(Neil Young)

カレーを作ってて、指切りました。

それもこれも元は言えば丸喜屋のオヤジの所為。閉店時間が近づくと余りモノを捨て値で強引に押し付けるため、神楽坂界隈でこのオヤジを知る人は多いのですが、ご他聞に漏れず、大量のホウレンソウを魔法のように押し付けられて、結局は追い込まれて週末に一気呵成に片付けざるを得ず、週末にカレーを作ってたわけです。で、茹でたホウレンソウをビシビシと刻んでて、一緒に左手の人差し指の先っちょを爪ごとバッサり伐採してしまったわけですね*1


その刹那なのですが、丸喜屋のオヤジの岩石のような顔面に続いて、Neil Youngの山肌のような顔面が脳裏に浮かびました。

いや、突拍子も無い話ですが、彼も、自分の指を、切り落とさんばかりの勢いで、自傷したことがあるらしいのです。*2

彼の場合は、その後にツアーが延期になったんだかアルバムのレコーディングが延期になったんだか存じ上げませんが、怪我した瞬間に「ああ、ギター弾けねぇな」と思った自分もようやくバンドマンらしくなってきたということでしょうか。


そんなこんなで、途中だったカレー作りを放置するわけにもいかず、吹き出る鮮血を必死に止めて、泣く泣くカレー作りに復帰する際に自分を鼓舞するために部屋でかけたNeil Youngの90年代の名作が本作です。

本作収録の"Change Your Mind"は、彼の歌詞("Hey, Hey, My, My")を引用した遺書を残して猟銃で自分の頭を吹っ飛ばしたKurt Cobainに向けて書いた歌詞だそうです。"Change Your Mind(考え直せ)"と。


Neil Youngという人の存在や音楽が北米大陸の人間(もしくはアメリカの音楽が好きな英国の人間)に与えるインパクトや影響というのは、普通の日本人にはおよそ計り知れないものがあるようです。私個人、彼の音楽を楽しめるようになったきっかけは、どちらかと言えば、彼の詩というよりは演奏でした*3

ただ、次に丸喜屋で押し売り品をオヤジに摑まされそうになったときには、心の中で"Change Your Mind"が流れるだろうと思います。考え直せ、と。


SLEEP WITH ANGELS

SLEEP WITH ANGELS

*1:冷静になって考えずとも、丸喜屋のオヤジの所為で指切ったわけではないですね。丸喜屋のオヤジさんごめん。いつも有難う。

*2:ほうれん草を刻んでた自分が言うのもなんだが、間抜けなことに彼はサンドウィッチを切っていたらしい。

*3:ま、それは彼のスピリットと表裏一体ではあるわけだが。