鬱と躁(野坂昭如)

本作、野坂氏に対する諸々の先入観*1抜きで鑑賞することは甚だ困難かと思われますが、そんな劇物をも何の気なしにランダムで再生しちゃうiPodは非常に愛い奴です。お陰様で、本作の魅力に改めて感じ入ることが出来ました。


「自殺! 暗殺! 虐殺!」


そんな歌唱を来るぞ来るぞと思いながら聴いていると、つい伴奏を楽しむことを忘れがちですが、本作、実は伴奏「も」素晴らしいのです。無欲で軽快で*2


電車でホケーっとしていると、何の前触れもなしに、軽快で簡潔な前奏をiPodが出力し始めます・・・。


「お!演奏かっこいい」


と思っていると、


「ヂンヂンヂンヂン 血がヂンヂン!」


といった類のリリックが迫り来る。油断も隙あったものではございませんが、可能であれば赤ん坊のような真っ白な心で鑑賞することをお勧めいたします。


なお、以前にご紹介したコンピレーション作品『私服刑事』には野坂さんの作品も収録されております。こちらも素晴らしい作品*3となっておりますので、そちらも併せてご鑑賞されることをお勧めいたします。


鬱と躁

鬱と躁

*1:例:大島渚の顔面に見舞ったパンチが忘れられない、TV番組でのUFO研究家との喧嘩が面白過ぎた 等々。

*2:特にライブトラックの簡潔さといったら目覚しい。

*3:沖縄に関わる唄の中では私的に一番好きな唄です。