Book Of Bad Thougts(Uncle Green)

またまた、布袋寅泰の『ミュージックスクエア』ネタです*1

「あんまり知られてないんだけどいい曲なんだよね」って具合にDJ布袋がかけた本作収録 "I Don't Wanna Know About It" には、直ぐに反応しました。ガレージィな演奏とファインメロディの応酬。思わずリクエストのハガキを書きましたら、DJ布袋、分ってらっしゃる、もう一度かけてくれました。他の方からのリクエストも多かったようです。


このアルバムは押しも押されぬメジャーレーベル(Atlantic)からリリースされたものだったので、買おうと思えばそれほど苦労もせずに買えるモノだったはずなのですが、実際にはやたらと苦労しました。輸入盤とは当時の自分にとって斯くも厳しいハードルだったのです。

"Uncle Green"って言っても誰も知らんし、メロディ*2のオヤジに聞いてみてもやはり知らない様子で、文字通り手のつけようのない大仕事。

当時のタワーレコードに置いてあった、図書館に置いてあるような検索用マシーン(完全に輸入品仕様)のようなものでえらい時間をかけて調べた挙句、ようやっとアルバムが存在することを突き止めました。ひとしきり興奮した後、レジレシートのようなシャビーな用紙に名前をプリントアウトして喜び勇んで"U"のコーナーに進んだものの、そこに並んでいるのは"Uncle Tupelo"だけ。その後、数々の悲哀をあらゆるレコード屋で味わいました。

最終的にアルバムが買えたのは、店内のレコードファン達の雰囲気に気圧されて足を踏み入れるのに逡巡していた"CISCO"という店でした。手が震えました。


このアルバム、一寸調べてみたらBrendan O'Brienが初めてプロデュースしたアルバムなんですね。その後Rage Against The MachinePearl Jamといった錚々たるバンドをプロデュースしたり、実はRed Hot Chili Peppersの名曲"Breaking the Girl"でメロトロンを弾いてたり、Bruce Springsteenの新譜でベースを弾いたりすることになるのか、と考えると、真に勝手ながら実に感慨深いです。

当のUncle Greenが後の名プロデューサーの力量に飲まれる仕事しか出来ていないわけでは決してないと思えるだけに彼等の没落はとても残念です。Amazon.comでこのアルバムを検索するとusedで$0.01、つまりはその値段1セントとなっています。「もってけドロボー」以下「かろうじてゴミよりマシ」の世界ですね。はぁ…私の好きな音楽って何故どいつもこいつも中古市場で叩き売られているんでしょうね…。


「いい曲かけるとリクエストがたくさん来るってのが嬉しいよね。みんな分ってんだよな〜」でしたか、DJ布袋が番組で2度目に彼等の曲をかけたときに独りごちた言葉が今になっても思い出されるのでありました。


Book of Bad Thoughts

Book of Bad Thoughts

*1:過去、こんなのこんなのアリ。

*2:前述の横浜・青葉台レコード屋