gabrielle(gabrielle)

大学に入って、初めてインターネットの世界に入門したのですが、広大な情報の海へイカダで出帆しては即帰ってくる、もしくは遭難する、というようなことの繰り返しでした。

何せBookmarkって何のことやら二重の意味で分からず、URLを大学の手帳にシャーペンでメモってましたから。


世の洋楽番組が衰退してしまった(様に思える)のは、そんなデジタルディバイドの彼方に取り残されている人々がいなくなって来ている兆候かもしれません。思えば、音楽に関する知識吸収に貪欲だったあの頃、ケーブルテレビの観れなかった僕は毎週色んな番組の電波を地上で待ちました。

"BeatUK"という番組は、そんな時代にティーネイジャーだった世代の心に残る番組の一つだと思います。当時つるんでいたメタル好きに囲まれて、隠れ切支丹の趣で放送を録画予約しては、プロ野球の延長で別番組が混ざってしまい悶絶していた頃を思い出しました。

そんな彼の番組で観てきた数々のプロモーションビデオの中に、それっきり再び目にする術も無く、ひたすら僕の想い出に生き続けているものが幾つかあります。そんな曲の一つが、Gabrielの"give me a little more time"という曲です。


AMラジオのような音で、ゆったりとした伴奏に乗って研ナオコ似の黒人女性が、愛らしくも姿勢よく歌います。

イントロのベース、各種ホーン、ドラムから、弦、鍵盤、ヴィブラフォン、パーカッションに至るまでの全ての楽器が歌手の唄を引き立てることにひたすら全力を注入しているように感じる凄みを、60年代のソウルやR&Bの古典からではなく、90年代も後半にリリースされた、ある意味でのイミテーションからビシビシと感じたということが、僕には痛快に思えます。

もし自分で映画を撮ったら、エンディングに流す曲はこの曲にしたい、いや、この曲がエンディングに流れる映画を撮りたい、と実は思っていたりします。


さて、上述した通り、この曲、ビデオがあるんですが、それこそ60年代のステージの趣が再現されたような画だった気がします。あの「ヒラヒラした銀紙のようなものがワシャワシャとなっている」ようなステージの背景(との表現が限界)・・・あれ、何て呼ぶんでしょう。すご〜く好きなんですけど・・・あ、Primal Screamの"Cry Myself Blind"という曲のビデオの背景も似た雰囲気でしたね。

かったるいレビューですいません。


Gabrielle+Two Extra Tracks

Gabrielle+Two Extra Tracks