GT400(thee michelle gun elephant)
振り返って考えるに、彼らの音楽に一番圧倒されていた時期だった、頂点だったと思う、ということを「アウトブルーズ」という曲に託つけて書いたことがあります。
そういう意味で本盤は「終わりの始まり」でした。
ドクロだとか革ジャンだとかバイクだとかって安易なモチーフがバンドのイメージとして幅を利かせ始め、歌詞に漂うベンジー臭*1がどうにも鼻につくようになっていきました。
本作のBサイドに『モナリザ』という曲が収録されています。
極端に言えば、自分が魅せられた頃のこのバンドの本当の魅力はこの『モナリザ』を最後にこのバンドから発せられなくなった気がします。
旧赤坂Blitzに観に行ったライブ*2は前作"GEAR BLUES"の関連のライブでしたが、この曲が既に演奏されていました。
スローで重いブルース『モナリザ』から性急な"Vibe on!!"になだれ込む流れは、失禁するかと思うほどに格好良かった*3。
このバンドは後にタモリがMCを務める生放送の音楽番組で、出演をドタキャンした外国人タレントの穴を埋める演奏をして随分と名を上げました。
ただ、自分はどうにも醒めていました。そのときに演奏された曲は、『アウトブルーズ』や『モナリザ』と比べると、曲、詞ともにお世辞にも良いとは言えないと思っていたから。
その後、バンドが解散するまでにそんなに時間はかかりませんでした。
潮時だったんだと思います。
それぞれのメンバーがそれぞれの活動を続けているがあの頃の輝きは超えられていないと思います。
ギタリストのアベフトシさんだけには表立った活動が一切見られなかったことには、往事の輝きがともすると重荷となっていたのかもと思わされますし、「ダメなもんはダメ」という正直さというか潔さが感じられました。
そんなアベフトシが死んだそうです。
彼の稼働状況は現役のミュージシャンとは言えないものだったので喪失感はそこまでに切迫なものでもありませんし、そもそもそんな報せは急すぎて実感が湧きません。
ただ、これで、あの輝きは二度と観察できないということが決定的となりました。かろうじて期待はしていましたが、もう期待もしてはいけないんだ、と覚悟しました。
バンドの解散後、他人のバンドに中途半端な形で参加しているときで至って冴えない頃でした。
ライブハウスの前で出番前に関係者と佇んでいた彼に相対したとき、自分は畏怖してしまい、一言も発することができませんでした。彼はそういう存在でした。
上手くはないかもしれないけど、異常な存在感のある、立ち居の美しい、格好いいギタリストでした。最後に月並みな表現でとっても情けないけれど。
やはり少々悲しいです。
R.I.P アベフトシ
- アーティスト: Thee michelle gun elephant,チバユウスケ
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2000/02/02
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (5件) を見る