ありあまる富(椎名林檎)

すわゲルニカの曲か・・・と思わされる題名ですが、聴いてみるとビートルズを思わせる雰囲気に満ちたミディアムテンポのポップソングです。


東京事変(彼女が参加しているバンド)の近年の作品から顕著になってきているとは思っていましたが、林檎さん、もう、自分の言いたいことを言いたいままに歌詞にして歌うことしかしたくないように感じられます。

それはロクでもないものだらけの世の中にいつかは我が子を放流しなくてはならない母親としての危機観の発露であり、そんな世の中にしてしまった責任の一端を担っているかもしれない職業専門家の一人としての責任感と矜持の発露である、と思うのは安易でしょうか。


結果としてこの歌は、少々の年寄り臭さを感じることは否めませんが、主張がきちんと織り込まれつつ、リスナーを青臭さに鼻白ませることのないポップソングとして成立しています。

その手腕は同世代の音楽家では比類が無いと思います*1


林檎さんの歌が目覚しいのはもはや言うまでもありません。

キレがあるのに包容力もある素晴らしい伴奏はあのバービーボーイズのギタリストいまみち氏が取り仕切っているそうです。

林檎さんの歌は今回のようなオーソドックスなベース*2を伴奏にして聴きたいと思うのはワタクシだけではないのではないでしょうかね。一概には言えませんが。


ありあまる富

ありあまる富

*1:「価値」とか「生命」とか「富」とかって言葉が使われてはいるもののアカ臭さが一切感じられないことには感銘を受ける。

*2:いまみち氏ご指名のベーシスト、東京ローカルホンクのアラケン氏の演奏。プレシジョンベースの素晴らしいサウンド