CM NOW(2009年3月号)

【おことわり】本稿、テレビコマーシャル関連の雑誌に託つけて、腐れ言を吐き出しているだけです。当誌についてのレビューではありませんのでお含みおき下さい。


以前『金麦』という商品のテレビコマーシャルについて一腐れ二腐れ書いたことがあります。

老害振りまくオッサンどもの貞淑美人妻幻想に媚び諂い、恥も外聞もなく付け込もうと企む製作サイドの思考放棄に呆れ、且つ、そんな製作サイドのニーズに過不足なく応える敏腕主演女優のプロフェッショナルな仕事っぷりに感嘆してのことでした。


このCMはやはり人気があったそうです。

その後も同路線で製作され続け、やっと目にすることもなくなったかと思いきや新作が登場してイライラする、というような状況が断続的に続いてまいりました。それは個人的には甚だ遺憾な出来事でありました。


そんな折ある記事を目にしました。


「個人的に遺憾」といったレベルを遥かに超越して「世も末」と言わせて頂きたい。


サントリーの業績の好調があのCMによってもたらされたものだとは勿論思いません。ひょっとするとアラレもない時間にテレビ東京がPR番組を垂れ流しているサプリメント商品「セサミン」が爆発的に売れているのかもしれません*1

百歩譲ってあのスピリット臭いカストリビールもどきがそんなに売れているのであれば、日本人の舌は腐りきっているとしか言いようがございません。


そもそも競争力の源泉が税率の格差にあり、企業努力はビールに似せることにあるというこの手の商品の志は底が見えないほどに低いと思えてしょうがないのですが如何なもんでしょうか。

家計の厳しさを理由にそんな商品を定期購入する一般大衆どもはアル中なのでしょうか。そうとしか思えません。


この機会に考えてもみると最近のビール周りのコマーシャルの出来は酷いものばかりです。

アサヒビールのCMをご覧になったことがありますか?

ダウンタウン」の「ハマちゃん」が数多の中途半端タレントと絡むだけ、という印象しか残っておらず論評に耐えません。

それとないロハス臭が鼻に障ったとは言えなかなかに渋いキャスティングで緑のYEBISビールのCMを製作していたサッポロビール辺りには、田村正和なんかにアホな台詞を言わせてないで昔ながらのサッポロラガー*2とそれに準じるCMをきちんと作り続けてほしいものです。


・・・というわけで、はっきり言ってCMの方が本編(番組)よりもはるかに面白い状態が続いてきた地上波放送*3

テレビの制作現場はここのところ予算が大変に厳しいらしいですが、はっきり言って知ったことではありません。「新車情報」亡き今、定期視聴する価値がある番組は「タモリ倶楽部」だけといっても過言ではないではありませんか。


CM NOW (シーエム・ナウ) 2009年 03月号 [雑誌]

CM NOW (シーエム・ナウ) 2009年 03月号 [雑誌]

*1:店主の苦労話を聞かせる浪花節系のドキュメンタリーかと思いきや、その店主(病に倒れた経験あり)やその妻(病に倒れた亭主を献身的に看病しつつ店を独りで切り盛りした経験あり)が一様に件の商品を摂取している様が写され、ふと我に帰る、あの瞬間が何とも言えない。あ、考えたらそりゃセサミンじゃない。青汁だったな(アサヒ緑研の仕業。「人生の切符」と書いて「たびのきっぷ」。イっている。なんと福岡の会社。わが故郷ではないか)。

*2:通称赤星。

*3:骨太でチャレンジングなテレビコマーシャルを煽動してきたトップランナーとして、豊島園と並んで湖池屋の名前に言及しておきたい。阿部サダオを起用したCMを初めて見た際には久々の衝撃が走ったが、ロングバージョンがあることを知るに至り、その珠玉の味わいに心が癒された。