閃光少女(東京事変)
真冬の夕暮れ時。モコモコのダウンジャケットに身を包み、フードを被ったまま歩く少女。彼女は小学生か中学生、か。
彼女の今。彼女の将来。そんなことに思いを馳せつつ、目に焼き付いたその光景。そんなあれこれを形に残したい。
そういう思いを込めて、本作の作曲者の亀田氏はこの曲を作ったそうです。
「青春」もしくは「若さ」というやつは、過ぎ、消え去って初めて、朧げながら色や模様や匂いが浮き立ってくる、相対的な性質のものだと思います。
それらは換言すると「Uncertainである」という「事情」であるとも思います。
諸々の事柄がUncertainな時分は、そんな「事情」そのものがまさしく「Certainではない」ので、青春だとか若さだとかがいったい何のことだかピンと来ません。あらかたの事柄がCertainになってしまった時に初めて、そんな「事情」や「それを自分は既に失っている」ということが、感慨や悲哀を伴って認識されるのではないか、と思うのです。
本作の歌詞は必ずしも「青春」や「若さ」そのもののみを題材にしたものだとは思いません。
果たしてそれは、これからCertainになろうとする人々に対してであれ、既にCertainになってしまった人々に対してであれ、「Uncertainであれ」とストレートに呼びかけるものだと思います。
亀田氏が音符に落としこみ、それを受けた林檎女史が歌詞へとつないだ感情。冒頭の情景とメロディと歌詞とが溶け合いつつも円を描いているのは果たして必然であると言えましょう。
この皆さんを取り上げて、演奏の良し悪し云々について、語るのはもはや不毛ですらあります*1。
Smashing Pumpkinsの永遠の名曲"1979"に比類する名曲であるとお見受けいたしました。
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*1:転載時補足:それにしてもバッキングのギターにアコースティックギターが使われているということを知ったときには脳に衝撃が走った。そう来るか、と。