NHK「みんなのうた」40周年ベスト(1)

みんなのうた』と言えば、『山口さんちのツトム君』という一曲も、個人情報保護・匿名性確保を尊ぶ現代からすると、無尽蔵にオンエアされていたという事実が末恐ろしい問題作であると言えるでしょう。

この曲が原因でいじめにあった山口君、ツトム君、そして山口ツトム君がどれだけ全国にいたのでしょう*1


今になって考えると、あの曲はコード進行も不思議だった記憶があります。果たしてメジャー進行だったのか、マイナー進行だったのか。明るいのか暗いのか判然と致しません。

「さっちゃんが遠くに行っちゃうという件については、どうやらその蓋然性が高そうだ」というテーマを扱ったそれとないマイナー進行の『さっちゃん』の方がまだ割り切れるというものです。


「このごろすこ〜し変よ」 *2


という歌詞の嫌な歯切れの悪さがまた引っかかります。

わざわざ歌詞を読み直すと、ツトム君のメランコリーは「田舎へ行っていたママ」が原因だったということが判明するわけですが、「田舎へ行っていた」ってのがまた引っかかります。子供にしちゃ、ツトム君の影は深すぎやしませんでしょうか。


締めに至っては、


「すっぱいね」


ですよ…。それも田舎のお土産のイチゴが。どう解釈しろと言うのでしょうか。南らんぼう氏は。


この『山口さんちのツトム君』を歌っていた子役時代の斉藤こず恵さんについては「この頃少し変」というよりは、むしろ「その数十年後の方がかなり変」なわけですが、南らんぼう氏にはその様子が見えていたのかもしれません*3


一方の『ポンキッキアーカイブの方には「むぅわ〜いにち むぅわ〜いにち」で始まる『泳げたいやきくん』を筆頭に、『ホネホネロック*4』、『パタパタ・ママ』などの数多くの古典的作品が犇いております。

思春期どころか幼年期を迎えていたかも定かではなかった時期に、身辺の同い年のおともだち達にメガトン級の衝撃を軒並み与えた問題作『おっぱいがいっぱい』。この作品が一体全体誰の差し金だったのか、黒幕は誰だったのかが今となるとかなり気になりますが、別稿に譲りたいと思います*5


*1:本音を言えば、そんなことにいちいち目くじらを立てる世の中の方がよっぽど狂っている気がしないでもない。

*2:ここの部分はイイのか?JASRAC様よ。

*3:んなわきゃない。

*4:高校生の頃に、同級生の山岸君のバンドが文化祭で演奏していて感銘を受けた。

*5:結局のところ「かなり」どころか、さして気になってないんだと思う。