Stadium Arcadium(Red Hot Chili Peppers)

これだけの大御所に、これだけ原理的なロックミュージックをやられて、それも二枚組なんて形で丸まんまドッチャリ目の前に投げ出された日にゃ、途方にくれるっつうもんです。なんかゴチャゴチャと書きますが、後で消すかもしれません。


あくまでも自分の場合ではありますが、前作"By The Way"を、手にしたその日から気がついたら3年たっても飽きずに楽しめてしまっていました。

それが今回はとりあえずダブルアルバム。DIGすべき土地がまずもってHorizontalに広大です。それがまた一点一点を定点観測すると、そのVerticalな深みたるや半端ないわけで、先日始まった本作との付き合いが、果たして一体全体どのようなリスニング体験になっていくのやら。先が見えません。

もう、端っこから端っこまで好きな部分から「選り取り聞き取り」でJohn Fruscianteのギターを猿真似する楽しみを思い浮かべる。それだけでもう口元のにやけが止まりません。ちなみにdisk2の終盤に収録される"Turn It Again"のギターソロだけで既に数回泣かされております。エモーショナル過ぎる。


ところで、本作製作中にベースのFleaとギターのJohn Fruscianteとが揉めた、って話を耳にしました。意外に思った方も居られる様子ですが、私個人としてはむしろ当然だと感じました。

Fleaのベースが相変わらずカッコイイことは確かで、それを悪く言う必要性も意味も決してないのですが、噴水の如く四方八方に噴出するJohnの才能に相対的には押され気味、と言うか、敢えて抑え気味であると感じたのもまた現実です。

この際なので断言しちゃいますが、本作、前作から引き続き、John Fruscianteの独壇場です*1

別の言い方をすれば、本作に纏わる表の功労者がJohn Fruscianteならば、裏の功労者はFleaだと思います。彼とJohnとの間の絆は恐らくとても強く、Fleaは今のJohnが妥協できないことを良く知っているからこそ、折れた、つまりは妥協したのではないか、と邪推してます。二人で同時に我を張ってもCreamみたいになっちゃいますから*2

多かれ少なかれFleaがJohn Fruscianteと揉めた、という事実(伝聞でしかないですが)には、余計なお世話ながら少々の救いを感じる一面もあります。Flea自身の表現者としてのプライドを感じた後日談でありました。


そんなわけで、John FruscianteとFleaの確執の件を全く聞かずして本作を聴いたら、Fleaが脱退、すなわちChili Peppersは解散してしまうのではないかと、本気で心配したのではないかと実は思っているのでありました。


Stadium Arcadium

Stadium Arcadium

*1:強いて言えば、Anthony KiedisのVocalがものすごく拡張していると感心した。

*2:考えても観るとCreamは、二人どころか三人が同時に我を張ってたわけで笑える。