チョコレート工場の秘密(Roald Dahl、田村隆一)

読書とはほぼ無縁な少年時代を送っておりましたのに、この本だけは何度も何度も読みました。

何が気に入っていたのかはいまだもってよく分かりませんが、ファンタジックな世界観と、次から次へとハプニングが勃発する騒がしさと、そして、何よりも貧乏人がのし上がるカタルシスとが総合して琴線に響いたのかもしれません。


著者のRoald Dahlは他にも"Giant Peach"などの子供向けの作品を書いた人で、その作品が頻繁に映画化されていることを考えると、さぞかし秀逸なイマジネーションを持った人だったのだろうと思います。一方で大人向きの短編小説もけっこう書いていて、そちらのサーカスティックな笑いもお勧めできます。


ところで、子供の頃から不可解だったのは画です。表紙の絵と中身の挿絵とに違うものが使われていることに終始戸惑いました。

表紙ではやけに写実的に描かれているワンカさんやチャーリーのおじいさんが、中身の挿絵では二人ともフリーキーなホームレスみたいに描かれています。*1

大人になった今となっては権利等での複雑な事情もあったのだろうと思わないでもないですが、当時は当時で大人の事情を感じ取ったものです。せめてもうちょっと何とかならんかったのかなとは思います。

映画はまだ観てません。


チョコレート工場の秘密 (児童図書館・文学の部屋)

チョコレート工場の秘密 (児童図書館・文学の部屋)

*1:後者はともかく前者はホームレスじゃダメだろう。個人的には中身の挿絵の方が好きだった。