Live in Italy(Lou Reed)

恥の多い生涯を送ってまいりました

…とまではいかないのですが、1年間強で結構な分量を既にここに書いてしまっておりました。画面上で最初に書いたレビューまで遡るだけでこの面倒臭さ。色々な意味で笑えない量になっております。


これまでにレビューを書いてきた対象の作品は基本的に人にお薦めするというスタンスでピックアップしたものだったのですが、パラパラと見返してみると、書いた当本人ですらもそのことを忘却していたものなどもあり、久々に聴きたいと思わされるようなレビューが沢山出てきて、思わず苦笑いたしました。

膨大な数のCDは打ち捨てたまま実家からフェードアウトしたので、現在の自宅においては、コンピュータの中に膨大な音楽データだけがただひたすらトグロを巻いている状態です。直感的に聴きたいものばかり聴いているとやはり偏りますし、ランダムで聴いていても文字通り運まかせになってしまいます*1

ちょっと聴きたいな、と、ふと心にひっかかったものって、簡単に忘れてしまうものです。そんな瞬間にちょいちょいとメモ程度にレビューとしていたものを清書してきたことによって、備忘録的な役割を果たすんですね。うむ、我ながら悪くない。


思えば一番最初にレビューを書いたMolokoのアルバムを買ったとき、本作も一緒に買っていたのでした*2。そう、"R'N'R Animal"と一緒に。その事実も忘れておりました。

御茶ノ水ディスクユニオンでは、つい先日もゴミ同然の扱いで放置されていたCD達をまとめて水揚げしてきたのですが、思えば本作もあの店で買ったんでしたな。315円で。改めて聴いてみましたら、おお、やはりカッコイイ。


ところでRobert Quineってご存知ではないでしょうか?禿げてて、子汚いヒゲが顎に生えてて、ヒョロヒョロで、くたびれた上着を着ているオジサンです。これであのサングラスを外せば、京成上野駅辺りで「鬼殺し」のストローを咥えているお父さんたちと近似すること間違いナシの絶妙にダメなルックスのおじさんです*3

このおじさん、そんなルックスの割には各方面から尊敬されております。それは本作のようにLou Reed御大や、Richard Hell、Tom Waitsなどといった蒼蒼たるビッグネーム達の隣で、エッジは丸いんだけど切れ味は鋭いような、エッジは鋭いんだけど切れ味は悪いような、割り切れないながらも捨て難い魅力の溢れる個性的なギターを聴かせてくれるギタリストだったからです。日本においては斉藤和義氏やSION氏がQuineさんへの愛を惜しげもなくアピールされております。


「だった」と過去形で書いているのは、彼が最近死んだからです。死因はヘロインの過剰摂取。悲しいのは、彼は妻を亡くしたショックから既に一度自殺未遂を試みており、結局の死因となったヘロインのオーヴァードーズも自殺の可能性が高い、ということです。

そんな答えを自ら出されてしまうと、ただただクールだった彼のギター演奏も、今となって聴いていると、どこか気が滅入るようなものとなってしまいました。*4


Live in Italy (1983)

Live in Italy (1983)

*1:それが非常に効果的な場合もままある。

*2:それがなぜ、今、うちのiTunesには入っていないのだ!? mixiから転載時(2010年10月21日)に追記。

*3:シルエットはチンピラを演じている竹中直人のイメージ。

*4:その理由もあってか、Curt Cobainの自殺よりもずっと悲しく感じる。