エスパイ(福田 純)
普段の住まいは東京のど真ん中に在るにも関わらず、電波障害要因でもあるのかTV東京が視聴不可能という憂き目に会っております。結果、都県境を越えて実家に帰ってテレビをつけているときはおのずとTV東京漬けになってしまいます。
なぜかって本作のようなジャンク素材が供されるからです。
昭和天皇崩御に際して、各キー局が一斉に追悼番組を放映する中で、事もあろうに『ムーミン』をオンエアしていたこのガチンコ放送局*1。先日は某元一級建築士の国会証人喚問を各キー局が一斉に生中継する中でジャパネット高田の通販番組を垂れ流していたとの垂れ込みがあったばかりですが、2005年も押し迫ってこのような宝物をたまたま目にする機会に恵まれるとは・・・しかも放映が始まった時間帯が朝の5時40分ですよ・・・暴挙レベル。一発で目が覚めました。
このDVDの表紙で脂ぎった顔面を曝しているのはオリジナルラブの方ではありません。私が個人的に崇拝する藤岡弘先生です*2。事もあろうに加山雄三がボスを務める超能力者(エスパイ)組織の構成員達が、これまた事もあろうに若山富三郎率いる悪の「逆エスパイ」国際組織と対決します。
由美かおるのオッパイ*3ぽろりシーンがストーリー、プロットからほぼ独立している*4ことが非常に象徴的ですが、この映画に決定的に欠けているものは「必然性と現実性」です。
正に全編フリージャズ状態。イスタンブール、サンモリッツ等々のロケーションには必然性が感じられませんし、主題歌に至っては尾崎紀世彦。出演している外国人の台詞部分だけは吹き替え日本語です。
「さすがに無理がないですか?」
との声が現場では上がらなかったのでしょうか?
最後に死にゆく若山富三郎が「愛か(超能力の源泉は)・・・」とつぶやきますが、その安直さの著しい類似から、リュック・ベッソンはSF作品"Fifth Element"用の素材を本作からパクっているのではないか、との疑惑も急浮上です。
と、まあ、突っ込みどころに突っ込み出すとキリがないのでここら辺で。とにもかくにも「藤岡弘、」愛好家の皆様で未見の方が居られるようでしたら、是非本作を。私もこれを未チェックだったとは抜かったもの・・・★★★★★*5はそういう基準ですので要注意。
ちなみに、由美かおるの「不老神話」は、時代劇の入浴シーンで萌え狂う中高年がオーディエンスとして象徴的に存在しているので世に広く共有されておりますが、藤岡弘大先生のたたずまいも暑苦しさも実は当時と現在とでほぼ変わらないのだということが確認されました。別途出演している草刈正雄の異常な若さ(現在の誰かに凄く似ていると思ったが思い出せず)がそのことを逆に引き立てています。
最後にTV東京の名誉のために一言。ちゃんと普通の映画も放映してます。ただし『ジョゼと虎と魚たち』、『OUT』に続く三本連続放送のトリとして本作を選択しているところにはやはり病的なものを感じざるを得ません。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2004/09/25
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