Evil Heat(Primal Scream)

「ヒッピー供は皆殺しじゃ」


と始まるPrimal Screamのアルバム"XTRMNTR"には惚れました。

このアルバムは全般的に電子的サウンドでメッキ加工したリフのゴリ押しロックとなっていて、一聴するとラディカルに聴こえるかもしれません。ただし、そのメッキの土台はJohnny ThundersLed ZeppelinCurtis Mayfieldを足して3で割った様な、かなりベタベタな素材だったりするので、老若男女とまでは行かずとも大抵の方はすんなりと楽しめるようなアルバムだったのではないでしょうか。

そんな"XTRMNTR"の次作に当たるのが本作"Evil Heat"です。

聴いてみると…むむむ…更にZeppelin度が上がっているような気がするではないか。彼らの性向からしてCurtisやJohnnyは別としても、Zeppelinなんぞは権威の象徴として完全に邪険にされているに違いない、と決め付けておりましたので、面妖じゃ…そんなはずは…と勝手にうろたえておりました。そしたらコトもあろうにZeppelinのメンバー本人(ヴォーカルのRobert Plant御大)が参加しておりました。ハハハ。

たまたまレコーディングスタジオの近所に住んでた御大に「サイケなハモニカ吹いとくれ」と頼んだら「オッケー。んで、キーは?」というようなやり取りがあったとのことで、御大がハープに息をプヒ〜と吹きこんでおります。結果は恐らく狙い通り。"Lord is My Shotgun"という曲がとてもサイケデリックに仕上がりました。


この曲、歌詞で


「お前を生き埋め」
「お前を生き埋め」
「お前を生き埋め」
「お前を生き埋め」


ってリフレインしているだけあって、ワタクシの先輩が歌舞伎町でゲリラ撮影してきた映像にiMovieを使って被せてみたところ実によく馴染みました。


本作、昨今コカイン渦で世間を騒がせているKate Mossさんが歌声を提供しているアルバムでもあります。ネタは"Some Velvet Morning"。オリジナルはFrankの娘、永遠のビッチNancy Sinatra(とLee Hazlewood)です。この辺の選曲があからさまにあざとく計算高いですが、仕上がりが目覚しくカッコいいのでグウの音も出ないわけです。