Sound of McAlmont & Butler(McAlmont & Butler)

レコードのリリースが待ち遠しくて仕方が無い。

特に中高生の時分にそんな気持を味わった事がある人は多いと思います。


まだ僕が高校生のときだったか、以前ここで触れた"BeatUK"という深夜番組でちらりとPVを観たのがきっかけで僕はこの二人が作っている音楽に夢中になりました。

"Yes"という曲でした。

ゲイ・オーラ満載の黒人歌手David Mcalmontのことを知ったのはこのときが初めてでした。

ギタリストBernard Butlerを知ってはいましたが、彼の存在に惹かれるものがありつつも彼の所属するバンド(Suede)の良さを心から理解はできなかったメタル上がりの僕には実は下世話なストリングスがかなり好きという嗜好が隠れていたようで、この曲をきっかけに彼の音楽をしっかりと聞くようになりました。


それからというもの、件のBEAT UKで放映された2枚目のシングル"You Do"という曲のPVをビデオで撮って繰り返し繰り返し観ました。

この"BeatUK"という番組は、ランク1位の曲であってもフルサイズでPVが流れることは滅多に無く、早くこの曲を最初から最後まで聞きたい、リリースが待ち遠しくてしょうがないという気持ちが募ったものです。


音楽が好きだったとはいえ、何の知識も持ち合わせていなかったので、いわゆる国内盤より輸入盤の方が先に出回るようなミュージシャンのCDを買えるような店は日常生活範囲内にはありませんでした。

高校からの帰り道に田園都市線市が尾駅の駅前の普通のCD屋を何気なく覗くと、このアルバムが棚にひっそりと陳列されているのを見つけた時には僕は思わず声を上げたと思います。そのとき一緒にいた鈴木君と小谷君は果たして覚えているでしょうか。

家に向かってこぐチャリンコの速度がいつもより余計に速かったと思います。汗だくで家に付いてCDラジカセ(SONYドデカホーン)にCDを入れようとしたときに第一の衝撃。


不良品だったんです。


よくピクチャーディスクなんて言いますけど、CDってデータを読み取る面(裏?)の反対(表?)には何らかの印刷がされてますけど、買って帰ったCDの表面はツルツルのピカピカなわけです。


激しく落胆しましたが、気を取り直してドデカホーンにCDを装填し再生するとあの憧れの曲のまだ聴かぬイントロがブーンと聴こえて来て、その後はこれまでに何回聞いたか分からないぐらいの愛聴盤になりました。

が、その後ほどなく、第二の衝撃が。


この二人あっさりと喧嘩別れするんです。


「仕事上の付き合いだから」と。けっこう心底落胆しました。

その後、時を重ねて第三の衝撃は出入りするようになった中古CD屋で訪れます。このアルバム、叩き売りされてたんですよ・・・そのときには既に・・・酷いときは100円で・・・。

世間の審美眼の無さを嘆く資格が当時の僕にあったとは思いませんし、僕が実害を被っているわけではないのですが、このときばかりは寂しい気持になりました。


何ゆえこんなにもジェントルなギターが弾けるのか、何ゆえこのようなファインメロディが書けるのか。いまだにこのアルバムには驚かされます。


結局第四、第五の衝撃は、この二人がヨリを戻してアルバム*1を出した2002年と、さらにそのアルバムが叩き売りされているのを再び見つけた2003年に訪れたのでありました。


Sound of Mcalmont & Butler

Sound of Mcalmont & Butler

*1:その名も"Bring It Back"