Ghost World(Terry Zwigoff)
久々に"Big Lebowski"を観直したところ、Steve Bushemiの顔が脳裏に焼き付いて離れなくなり、連鎖的に本作を観直してしまいました。
「ダメに生きる」
本作のキャッチコピーです。
これまで個人的に散々クサして来た数々のカス邦題*1を始めとして、カスコピーが多い中で、なかなか良いんじゃないでしょうか。*2
死んだ空気が沈殿しているような、LAでもNYでもないアメリカの日常的景色が印象的な本作。
あろうことか主人公がてんで冴えないわけですが、何か身につまされる気分になったのは、関東郊外で退屈な現実に抗いクスブっていた自分のダメっぷりと何ら変わりがなかったからでしょう。
「やりたくないこと」や「好きじゃないもの」はハッキリ過ぎるほどハッキリしていても、「やりたいこと」や「好きなもの」が一体なんなのか分からない。
そんな漠然とした不安を抱えたままであっても、誤魔化し誤魔化し大人になってしまえば「やらなきゃいけない」ことが色々と出てくる代わりに「やりたいこと」や「好きなこと」が明確になってくるものです。
そんな事情も露知らず、自分を誤魔化すことができないばかりに虚勢を張り、不安に苛まれ、追い詰められ、終わりを迎える。
インディ・カルト・ムーヴィーの体ではありますが*3、「青春」を描いた大名作として永遠に輝き続けるでありましょう。
尚、本作、サウンドトラックがエクセレントです。監督しているのがTerry Zwigoff、つまりは怪作"Crumb"の監督であることを考えれば、その品質が低いわけがありませんやね。*4
- 出版社/メーカー: 角川映画
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*1:試しに「邦題」という一言で本Blogを検索してみてほしい。
*2:もう一言、 「ダサいのを通り越して、良くなってきたのを通り越してやっぱりむかついてきた」 というのもある。興行上必要とは言え、製作者の預かり知らないところで作品にレッテル(それも外国語)を貼るわけだから、せめてそれぐらいのセンスの良さをもって仕事をしてほしいものだと切に思う。
*3:現在は巨乳オヤジキラーのド本命というステータスを欲しいがままにしているScarlett Johanssonも、本作での田舎高校生役のイメージが強すぎて、いつまで経っても垢抜けて見えない。本作の彼女は演技もさることながらその腰高な体型がともかく絶妙。
*4:彼はラグタイムを演奏する。本作に続く監督作品2作("Bad Santa"、"Art School Confidential")も実はDVDを購入済。買ってあったのを思い出してちょっと嬉しい。