No Country for the Old Man(Joel Cohen, Ethan Cohen)
久々に映画が観たくなりました。
かつて足しげく通った飯田橋ギンレイホールは最近は何やら小賢しい文芸(的)作品ばっかり取り上げてばかり。ロートルはさっさと見切って、久々に早稲田松竹へとチャリを走らせ観た本作。
嗚呼。観に行ってよかった。
静かに高まる緊張感、伏線、テンポ感、俳優達の演技。どれをとってもエクセレント。一本の映画として文句がつけようがありません。
登場人物達のそれぞれの世界が絶妙に棲み分けられながらも、くんずほぐれつする様は正にコーエン兄弟的世界。かつて熱心に映画を鑑賞していた時代に熱くした胸がまた疼くのを感じました。
然れども、現実的には「地味な映画」だと思われても仕方が無いでしょう*1。
考えてみたら、こんな映画、どうやってプロモートすりゃいいんだか。その点では日本の映画会社の苦労が忍ばれるというものですが、こんな映画が作られ、しかも最高の栄誉(アカデミー作品賞)を与えられたりしちゃうのですから、アメリカ合衆国という国は健全だと感嘆せずにはいられません。
対照的に我が国は非常に不幸な状態にあると言わざるをえないのが現実であると思われます。
余談ですが、追われる人間がNick Caveに、追う人間がバナナマン日村に見えて気が散ってしょうがないことはまぁ仕方が無いとしましょう。
ただ、またもや心底しょうもない邦題の付け方をした日本の映画産業への怒りだけは、静かに沸き上がったまま収まりがつきません*2。
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