Bullit(Peter Yates)
個人的には「サンフランシスコという町への憧れの原点」とも言うべき名作ですが、その実(ストーリー)と来たらもう相当にショボいもんです。
正味な話、警官が淡々と仕事しているだけ。のっけからミスするわ、食ってるのはピーナッツバターのサンドウィッチだわ、ガールフレンドとの軋轢にも悩まされるわで、トックリセーター*1やツイードのジャケットを身に纏う天下のSteve McQueenが「凡庸」であるとすら言えます。
しかしながら、もうメランコリックでダルダルな時間が延々と続いたかと思うと、しれっとシャープな台詞がキマる。
またもメランコリックでダルダルな時間が延々と続いたかと思うと、小股の切れ上がった美しい姐さん登場*2。
相変わらずメランコリックでダルダルな時間が延々と続いたかと思うと、しれっと激渋なオヤジに思わず溜飲が下がる。
更にメランコリックでダルダルな時間が延々と続いたかと思うと、しれっとさらに激ダルなLalo Shifrinの音楽が不穏かつクールな雰囲気を煽り立てる。
しつこくもメランコリックでダルダルな時間が延々と続いたかと思うと、しれっとどころか激烈に生々しいDodge ChargerとMustangの追っかけっこ*3に体中の筋肉が強張る。
…といった具合で、決して「スッキリ」ではなく「しれっと」の応酬。
さして面白くも無いのに息を飲みこんだまま画面に引き込まれている自分に気がついて、もはやストーリーなんぞ、どうでもよくなるのです。
ダルさが沸点に達するエンディングには他所では得られない生温いカタルシスを覚えます。
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